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金属片やむなし

君の影を踏みに。

スパイラル

親戚から聞くところによると、父はネグレクトを受けていたらしい。


ある日の仕事帰り、おれはポッドキャストを聞いていた。頭をブン回し続けると、脳がブドウ糖を欲して微熱があるかのうようにポヤーっとなることがあるだろう。ちょっとハードな仕事が続いていて、そういう状態だった。あくまでもそういうステータス異常状態だったことを強調しておく。

そのポッドキャストはとある芸人さんの深夜ラジオの延長で、ゲストとしてAV女優のかたが出演していた。AV撮影時のぶっちゃけトークなどが繰り広げられていたようにおもうが、なにぶん頭がポヤーっとしていたのではっきりと覚えていない。

そのうち芸人さんが「何か必殺技みたいなのってあるんですか?」というようなことを訊いた。完全に深夜ラジオのノリで、なんでもこい状態だ。それに応えて女優さんは「ありますよ」と説明を始めた。「根元のところをキツめに押さえて、咥えるんです」へーそうなんだ。「それで首をねじり込むようにこう、スパイラルみたいな感じで」はーそうなんですね。

ラジオには視覚情報がない。耳から聞こえてくるものが全てで、そこから想像するしかない。そして俺は疲れていた。ステータス異常だった。気がつけば俺は無意識のうちに右手を虚空に掲げ、口を開けて頭をスパイラルさせていた。


夜風がひどく冷たかった。