金属片やむなし

君の影を踏みに。

オートマータと嘘

ドウモ、嘘をついても鼻が伸びないタイプのぐるぐるさんです。


ピノキオって話があるだろう。ゼペット爺さんが人形を作って星に願いをかけたら動きだして嘘つくと鼻が伸びるってアレだ、と極めて雑にまとめるが、おれにはあれがどうにも実話に思えてならない。以下にその理由を記す。


物語というものは、例外なく嘘を内包する。事実の羅列は物語になり得ない。それはただのプロットの集積であり、物語になり損ねた何かに過ぎない。

スポーツは違う、といった反論もあろう。あれは観客が恣意的に物語を見出しているのである。それは多くの成功している興行が「あの選手はこんなに頑張っていた、こんなに苦労していた」などのバックグラウンドを用意していることからも明白であろう。「筋書きのないドラマ」の多くは塩試合と呼ばれる。まあ筋書きがあってもしょっぱい、ってものたくさんあるけど。

もっと言うと、キャラクターありきだと話が進みやすいのは二次創作物に親しんだことがあるならよくわかるはずだ。などと訳知り顔で書いているが、おれは二次創作とかあんまり見たことがない。けど人から頼まれてNARUT○のssを書いたことはある。もちろんBLだ。

俺いま書かなくていいことを書いてるなあ。誰も得しないぞこれ。


話を戻そう。ピノキオ実話説だ。物語を志向するのであれば、そこに嘘(語り手の恣意性)が必然であることには自覚的であるはずだ。話をおもしろくするためだったら嘘をつく、そんな話者が「ピノキオって嘘つくと鼻が伸びるんだよ」って嘘をつくのは「さすがに盛りすぎじゃね? これがアリなんだったらこれ書いてる俺の鼻も伸びてのびて大変なことになるよね?」って抑制が働くはずだ。気恥ずかしさにちょっと顔を赤らめてしまうはずではないか。それなのに物語「ピノキオ」は堂々と公開されている。

だからピノキオは実話に違いないのだ。ゼペット爺さんが作ったパペットは自律行動ができて嘘もつく、結果鼻が伸びる。少なくともここまでは事実に相違あるまい。そんでクジラに飲まれたりして最終的には人間になる、それはさすがに盛りすぎじゃね? 人形が人間になるわけないじゃん! お前なに言ってんのバーカバーカ!


……ここまで書いて、なんかこのハナシ理屈くさくてちょっとなあ、とおもう。そんな夜もある。