金属片やむなし

君の影を踏みに。

影踏み

幼稚園で、最後の2人になるまでスキップができなかった。

運動神経が悪いと言われればそれまでなのだけど、当時のおれが受けた指導は「右足と左足で2回づつ蹴る」というものだった。目の前でやって見せて「カンタンでしょ?」と言われても困る。

あえてググらずに書くが、もしおれがスキップを指導するならまずシャッフルビートから教える。タッタタッタタッタ(クララが)タッタと歌わせ、次は手でリズムを刻ませる。それができたら今度は足で。あとはほっといてもできるようになるだろう。

中学のとき、ちょっとだけ水泳教室に通っていた。まず泳ぎを見て、「おう、けっこう速いな。Aクラスだ」と一番上のグループに回された。そこでの練習は50メートル泳いで15秒の休憩、を10本繰り返すというもので、指導は一切なかった。おれはクロールの泳ぎ方を知らなかったので、50メートルを力任せに泳ぎ切るともうクタクタになっていた。なんでみんな泳ぎ続けられるのだろう、と不思議だった。クロールがラクな泳ぎ方であることを知ったのは大人になってモノの本を読んでからだ。

決して身体を動かすのが嫌いなのではない。スキーは大人が板を担いで逃げ出すようなコースをヒャッホウ! と滑りまくっていたし、卓球もわりかし得意だった。大人になってから始めたフライキャスティングも苦労はしたものの(粗悪な道具を使っていたため遠回りしてしまった)他人に教えられるくらいにはなった。

とは言え今から(昔苦手だった)野球サッカーバレーにバスケット、と言われるとうーん、ちゃんとやればできるようにはなるんだろうけど、やりたくはないなあ、といった按配。
……ああ、おれ身体を動かすのが嫌いなんじゃなくて団体でやるスポーツが苦手なんだ。自分がミスしたときに他人から向けられる悪意が嫌なんだ。自分のエラーで甲子園を逃した野球部員が同窓会に出られなくなる、ってのをものすごくちっちゃくした心理。ちょっと気付くのおそかったな、うん。

でもやっぱ走るのはきらいだ。せめて障害物を置くくらいのゲーム性はほしい。リアルスーパーマリオとまではいかなくとも。