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金属片やむなし

君の影を踏みに。

ハリーポッターと俺

ヘンゼルとグレーテルという童話がある。
口減しのために山に棄てられた幼い兄妹が魔女の作ったお菓子の家に釣られて捕まってネズミの尻尾がどうこうしてるうちに魔女を竃で焼き殺すという話だ。兄妹は魔女の貯め込んでいた財宝を持ち帰ったというが、自分たちを棄てた両親との感情的距離は縮まるまい。

この救いのない童話が人気を失わないのは、ひとえに「お菓子の家」というキャッチーなアイテムに依るところが大きい。子供たちはエスプレッソを染み込ませたラングドシャで屋根が葺かれていることを想像する。壁はピスタチオを練り込んだオレンジムースで、扉はどこまでも軽くメレンゲを焼き上げたマカロンでできている。7月限定、藤の花フレーバー。

だが待ってほしい。魔女はおばあちゃんだ。扉に手をかけたヘンゼルは訝しむ、「なんかこのドアぐにゅぐにゅしてる」最近歯の悪くなった魔女は濡れ煎餅を好む。煉瓦はとらや謹製の芋羊羹でできている。行列の絶えない吉祥寺小ざさの最中で作られたテーブル、金塊に見えるのは大泉学園大吾の爾比久良である。

グレートリセット。極に振れては見えなくなるものがある。「おばあちゃんちのお菓子」と言えばブルボンではないか。ルマンド葺きの屋根にアルフォートの壁、椅子はホワイトロリータで窓はなんかよくわからないネチネチしたゼリー、あの細切れのオブラートをまぶしたやつだ。「オブラート」って言葉が出てこなくて「薬 デンプン」でググっちゃったよ!

人類は魔女と和解すべきなのだ。