金属片やむなし

君の影を踏みに。

Who Killed Cock Robin

コンデジ」とは何の略か。

正解は「コンパクトデジタルカメラ」である。しかしながらこの略しかたはマズい。なんせ「カメラ」要素がない。それにもう塩銀カメラは主流の座を追われて久しく、「カメラ ≒ デジタルカメラ」となった。実際に「コンパクトデジタルカメラ」を「コンパクトカメラ」と書くこともある。なのに「コンデジ」、この略語から類推できるのは「コンパクトデジタルなんとか」までである。

「ちょっとあの鳥コンデジでとってくれない?」「(コンパクトデジタル?……鳥をとる?……コンパクトデジタル霞網?)ハイわかりました!」ご存知のように霞網による鳥類の狩猟は違法である。たとえコンパクトだろうがデジタルだろうがダメなものはダメなのだ。発覚すれば後手にお縄が回る。

ちなみに霞網のしくみを書いておくと、鳥は足爪を閉じることはできるが、開くことはできない。電線や枝から飛び立つことができるのは、脚を蹴り出した反動によって足爪のロックが外れるためである。霞網はこの反動を相殺してしまうため飛び立つことができなくなる、というものだ。ただしこれはおれの記憶ベースなので事実かどうかは各自確認してほしい。

このように「コンデジ」という略語は逮捕者を生み出す。霞網が違法であると知らなかったカメアシが不幸になる可能性を阻却できない。ベンサムは「最大多数の最大幸福」と説いたが、それは誰かの不幸が誰かの幸福に直結するという話ではない。「幸福」のパイが奪い合いであるというだけだ。……おれ今すげえ適当なこと書いてるなあ。

そんでまあ、無用な「不幸」を回避する策はある。「コンデジ」ではなく、もっと適切な略しかたをするのだ。先に述べた通り、現在のカメラに「デジタル」は不要である。つまり「コン(パクト)カメ(ラ)」とすれば……コンカメ……。

圧倒的な語呂の悪さを前にすると、逮捕者が出るのもしかたがない。おとなしく捕まって、罪を償っていただきたい。
おれは「鶫を殺した罪を償う」ってフレーズにリリカルなものを感じるよ。