金属片やむなし

君の影を踏みに。

柘榴の味

はじめてちゃんとWindowsタブレットを触った。工場出荷状態からのアップデートの嵐、しかもデフォルトで画面がロックされているので縦向きで起動するとアップデートすらできないなどのトラップを仏が苦虫を噛み潰したような顔でやり過ごし、なんとか「普通に使える」ところまで持っていった。
ハハハWindowsめ、お前はいつの時代だって駄々っ子だ。いくらタブレットになって進化したとは言え、根っこの部分は変わらないのだなぁ、と積年の恨みつらみを思い起こしつつ柘榴を食べた後の鬼子母神のような表情を浮かべていたところ、何かがおかしい、と。
……このWindows、人肉の味がしないのである。鬼子母神は人肉の味がするという柘榴を食べて人を喰らう欲を抑えたというが(これはインドから中国を経て日本に伝わった際の俗説らしい)、このWindows(10のタブレットモード)はシングルクリックもできなければ右クリックもできない、Windowsとは違う何かなのだ。
iPhone以来、タッチスクリーンのUIは工夫と創造を繰り返してきた。フリック、長押し、スワイプやらあれやこれ。キーボードとマウスを使うのが前提とされるPC、MacのUIをリプレイスしてきた。エピゴーネンと揶揄されるAndroidもまた、倣ってきた。
しかしWindows10のタブレットモードはそれらからも乖離している。よく言えばオリジナリティがあり、悪く言えば特許がらみの苦肉の策である。Androidでさえできているのに、というのはクロスライセンスの問題だろうか。
これはWindowsではない。かと言って一般的なタッチスクリーンデバイスでもない。人肉の味がしない柘榴である。でも僕らは知っている、本当は柘榴は人肉の味がしないことを。キスはレモンの味ではないし、ミルキーがママの味だったらヤバすぎるだろう。プリンに醤油をかけてウニの味になるなら密漁者は根絶できるではないか。カレー味のウ◯コって誰かが実際に食べてなきゃカレー味って判別できないからな!

……おかしい。鬼子母神伝説をベースにちょっと知的な話にするつもりだったのに最終的にウ◯コとか言ってる。読んでいただき申し訳ない。