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金属片やむなし

君の影を踏みに。

もみじの頃

新宿サブナードを歩いていたところ、サンタ風のドレスばかりがずらりと並んだ一角があった。ドレスというかコスチュームというか、とにかく赤と白を基調とした衣装を着たマネキンが10体ほど肩を寄せている。

「なんだこれは?」

意味がわからない。
そもそもそういった服を着た人を実際に見たことがない。せいぜいクリスマスのコンビニで店員さんがそれっぽいものを身につけているか、街で浮かれた若者がドンキホーテ(1回目)で買ったであろうペラッペラのサンタ服を着ているのを見たくらいで、しかしながらいま目の前に並んでいるのは明らかにそれとは違う、デザインが凝っているし、布地も縫製もしっかりしたものだ。
サンタドレス専門店か、と見れば奥のほうにはそうではない服も並んでいる。そうではない服は無闇にキラキラしていた。

察した。そうか、歌舞伎町も近いしな。
プロ御用達のお店だ。夜のプロフェッショナルがまさかドンキホーテ(2回目)のサンタ服を着るわけにもいくまい。そういえば以前ドンキホーテ(3回目)で買ったであろうペラッペラのセーラー服を着て嬉しそうにしている外国人観光客を見かけたことがあるが、あまりにも嬉しそうだったので「それおうちの中でだけ着ていい服ですよ」と声をかけそびれた。

新宿サブナード自体が古い地下街ということもあり、これまでは「派手好きなおばちゃん向け」の店なのだろう、と思い込んでいた。だが注意して見ればサブナードにはそういうお店がいくつかあることに気づいた。そうではないお店もたくさんあるため、気づきにくかったというのもあるだろう。

「プロフェッショナルのニーズに応える」サンタドレスの需要があるなんて考えたこともなかった。それがある程度のボリュームがあって、商売として、生活として回っている。季節は巡り、また来年の今ごろにはサンタドレスで店頭は赤く染まるのだろう。

紅葉みたいだな、と思った。